最後の戦い!後編

シギの周りの炎が渦巻く。レースはその炎の中に飛び込んでいった。二人の攻撃がぶつかり合うと同時に、ものすごい光が発せられ、辺りが全く見えなくなる。
「うわっ!一体何が・・・」アナウンスもびっくり。しかしその光もすぐになくなった。そこには、二人がいたが、レースの剣が・・・真っ二つにされていた。あの光は剣が折れたときに発せられたものだろう。そして、目にも留まらぬ速さでシギがとどめの一撃。レースはラインを飛び越え、壁に激突してしまう。・・・勝った。シギが勝った。
シギの息も上がっている。なんせあれだけ動いたんだ。当然だろう。
そこに天から一筋の光が降りる。そしてそこに大きな一人の天使が舞い降りた。
「シギ、よく頑張りましたね・・・」「あ、あなたは一体・・・」「私の名はノルン。天を統べるものです。今ここに、この戦いの終止符が打たれました。勝者であるあなたの願い、一つ聞き入れましょう。」そういえばシギって一体何がほしいんだろう。前にもそんなことを考えたが。「あの・・・願いをかなえてもらったあと、私はどうなるのですか?」「帰るのよ、天界に。もうこちらには来れなくなるけどね。」そう言って後ろで立ち上がったのはレースだった。「まさかこの剣を折られるなんて考えもしなかったわ・・・さああなたの願い、かなえてもらいなさい。まあ私だったら〜お金ほしいとか、彼氏ほしいとか、この世の支配権ほしいとか・・・」おい、最後のは流石に無理だろう・・・「じゃあ私は・・・私の願いは、私を・・・いえ、皆が天界と人間界を行き来できるようにしてほしい!それが私の願いです・・・」なんとびっくり、わけの分からぬことを言う。「その心意は・・・?」「私はもうほとんどこの人間界での記憶しか持ち合わせていません。それでも天界に帰ったらこっちに戻れないなんて、私には耐えられないんです。それに天界なら、ご主人様にも恩返しができるんじゃないかって・・・そう思ったんです。」おおありがとうシギ、今始めて君を拾ってよかったと思ったよ。「・・・分かりました。少し時間はかかりますが・・・ゲートを作りましょう。それでは・・・」ノルンがふっと手を上げると、シギとレースの体が光を帯び、消え始める。シギはその状態で僕のところに来た。「ご主人様・・・今までお世話になりました。またこちらに来たときも・・・よろしくお願いしますね。」ああそうだな、また来いよ、その言葉を僕が言い終わるか終わらないかのうちに、シギはそこから姿を消した。
それから今に至る。リオさんとマナさんの結婚式がこの前開かれて、もう盛大かつ豪勢に行われた。僕も参列していて、その日はリオさんたちとしゃべり明かしたのも久しい。なんだかそこでのリオさんの話では、天界のゲートはもうできつつあるらしく、近々視察に行くそうな。僕は学校で忙しいばかり。いつかシギたちが戻ってくる日を、ホノカやエルミも楽しみにしているようだ。まあそんなところだ。それから十五年・・・僕達は平和に、何事もなく過ごすことになる。そう、その後、またこの世界にどえらいことが、起こるのである。